こんにちは。
建築設計を志す人にとって、最初どんな組織で経験を積むかというのを考えることもあるかと思います。かくゆう私も就職するときには大いに悩みました。
私自身の経緯としては最初は規模にして2、30人程度の設計事務所に4年勤め、その後従業員1000人規模の中堅ゼネコンに設計職として転職しました。今現在ちょうどゼネコンも4年目になりますね。
石の上にも3年といいますが、実際3年もいればその組織の色というのが結構深いレベルで見えてきます。(わたしは3年我慢するとかいうのは正直なところそんなに重要でもないとは思っていますが。)
設計事務所とゼネコンの設計職の違いについて、私の経験ですが話していきたいと思います。とはいえ、わたしの経験だけ話してもしかたない気もするので、友人などからきく話も交え、設計職のある組織を総合的に話をできればと思います。
意匠設計職の組織選び
建築の意匠設計者の選ぶ会社の選択肢は、アトリエ系、組織設計系、ゼネコン、ハウスメーカー、というのに大きく分けられるかなと思います。それではそれぞれについてみていきましょう。
アトリエ系設計事務所
アトリエ系は基本的には小規模で個人の建築士が代表(顔)となって設計業務を行っているところが多いですね。日本で有名なのは安藤忠雄さんや伊東豊雄さん、SANAAなどがあげられますね。
デザイン性
傾向としては作家性や作品性を表に出した意匠をアピールポイントにして事務所を運営していることが多いかと思います。個性的なデザインです。
私はアトリエ系の事務所で働いたことはありませんが、学生の時にオープンデスクというインターンシップみたいなものをしに行ったこともあります。やはり代表は癖のある人でしたね(笑)。
労働環境
基本的には労働環境は良くなく、長時間労働低賃金のところが多いと思います。最近では社会情勢的にそれほどひどいことはできないでしょうが、それでも基本的にスタッフは勉強させてもらっているという丁稚奉公の立場であるのが暗黙の了解のようになっていますね。(あまりいいことだと思いませんが。)
私がオープンデスク行ったところの話を具体的にいうと労働時間は12時間以上。時には徹夜もありで、月給10-15万円みたいな感じだったようです。
東京五輪の国立競技場を設計した隈研吾さんの事務所はアトリエともいえますが、組織編成はおそらく組織設計的になっていると思います。そういうところでは一般の会社組織的な安定性も期待できると思います。
就職しやすさ
かなりピンキリです。有名建築家のところにはそれこそたくさんの優秀な志願者が門をたたきます。こじんまりとやっているところは競争率は高くないですが、そもそも採用していないとか、低賃金というのがあるでしょう。
組織設計系設計事務所
デザイン性
組織設計は大規模の建築物を大人数で設計するためか、アトリエ系よりは作家性というのは表に出てこないことが多いですが、デザイン的に洗練された美しい建物を設計するところが多いですね。まさに組織的なデザインで癖がないものが多いです。
労働環境
組織設計系設計事務所は意匠設計者としては待遇がよいところが多いです。
会社組織として設計事務所組織を大きくしているので、設計料などもしっかりとした数字を出しビジネスとして確立させているイメージがありますね。
その代わり、デザインだけでなくエンジニアリング的な側面でも価値の高い建物を施主に提供し、質の高い建物を設計しているのではないでしょうか。
就職しやすさ
就職に関しては難関であるといえます。名門大学卒の高学歴がひしめき合う就職戦線となるでしょう。学生生活でしっかりとした設計作品をまとめ、提案力の高さをアピールできる人材でないと難しいです。
ゼネコン設計部
デザイン性
ゼネコンの利益構造的には現場工事でお金を稼ぐことを主眼にしています。なので、施工性の高さ、経済性の高さを重視して設計を行うことが多いです。前例を踏襲したデザインが主となります。私が中堅ゼネコン所属なので、自虐も含みますが、イモくさいデザインが多くなってしまいます。その代わり、施工不良などは比較的起きにくい建物がつくられるかと思います。例外として、スーパーゼネコンの設計部はちゃんとブランディング戦略を行っており、結構美しい建物を設計しています。やはり堅実さは感じますが、質実剛健な建物を設計してますね。
労働環境
労働環境は比較的良好なことがおおいのではないかと思います。大きな会社組織となると組合などもあり、よっぽどおかしい環境にはなりません。特に近年はコンプライアンスが叫ばれていますので、過剰な残業はしたくてもできないですね。
ただし、ゼネコンは現場本位となるため、設計者の肩身は狭くなることが多いでしょう。きれいで魅力的な建物を設計したい人には障壁があまりにもおおいためおすすめしません。施工部門や見積もり部門が口出しをしてきます。
就職しやすさ
就職のしやすさは大手のスーパーゼネコンは非常に難関です。大手組織設計と同レベルの難度になるかと思います。
中堅以下のゼネコンはそれほど入りにくいことはないです。景気が良い時には、そこそこ真面目に学生生活をおくっていれば入れるでしょう。
ハウスメーカー設計部
ハウスメーカーは、未経験なので、聞いた話などをベースにご説明します。
デザイン性
まずハウスメーカーは一般住宅が多いですね。他にマンションなど設計していることは多いです。一般住宅の場合、木造や軽量鉄骨の小規模な建物になります。マンションの場合はRCとかが多くなると思いますが、比較的画一的なデザインが多くなります。これは、営業が顧客とプランニング打ち合わせをしてプランをある程度決めてしまうためと思われます。
設計者のオリジナリティを出すことは少なく、設計職の行うことは確認申請等の業務が主になるそうです。
下に参考にハウスメーカー出身の建築家ユーチューバーの動画を紹介します。リアリティのある話になっています。
労働環境
おそらく労働環境は悪くないです。組織設計や、ゼネコンと同じような待遇となるでしょう。
就職しやすさ
就職のしやすさは大手のハウスメーカーは難しいと思いますが、大手組織設計、スーパーゼネコンなどよりは容易なことが多いでしょう。
中堅以下はそれほど入りにくいことはないとおもいます。ゼネコンと同様、景気が良い時には、そこそこ真面目に学生生活をおくっていれば入れるでしょう。
まとめ
意匠設計者の就職先についてみていきました。
いろいろ分類はしましたが、アトリエ系と組織設計にはその間のような小規模だけど組織的に建物を設計している事務所もあります。私が新卒で入った会社はそんなアトリエとも組織とも言えない中間的な会社でしたね。
参考になれば幸いです。どれかの組織につとめていて、ここは実はこんな特徴があるなどの情報があればぜひコメントで教えてください。
それでは
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